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日本弱視者ネットワーク
Network of Persons with Low vision

(旧称:弱視者問題研究会・弱問研)

生活向上委員会【白杖編その1】

編集局

弱問研の定例会などで度々話題になる白杖についてシリーズで取り上げてみたいと思います。

そもそも持っていない人、持っているが携帯していない人、必要に応じて使う人、常に使用する人まで様々です。どれが正しいとかを言いたいのではありません。視力や職業、年齢、性別、個人の考え方などで違ってくるのだと思います。ということで、皆さんに率直な思いを聞いてみたいと思います。

事例1:
30代男性。視力は右0、左0.03。視野狭窄あり。5段式折りたたみ杖を常に携帯し80%の割合で使用。

Q:80%の場面で使っているということですが?
A:最近は視力がやや低下してきたため、常にバッグに携帯しています。通勤や買い物などで使用する頻度は増えましたが、職場や自宅周辺で人通りの少ない日中は使用していません。
夜間は安全上使用しないと怖いですが、日中は視覚障害者であることを理解してもらうために携帯しています。相手が避けてくれるのと、お子さんなどにぶつかって転ばせてしまうと加害者になりかねないためです。ただ、危険な場所の通行時は本来の杖としての役割で使っています。
Q:夜間使わないと怖いというのは?
A:職場周辺が暗いので、歩道と車道の区別がつきにくいし、端を歩きすぎると溝や畑に落ちたりします。
Q:視力が低下する前は?
A:思春期の頃はあまり持ちたがらなかったですね。周囲の目が気になっていたんだと思います。また、必要以上に声をかけられたり、希望していないお手伝いをされたりするのが嫌だったというのもあります。よっぽど危険と思う場所と、サポートをお願いしたいときだけに使っていました。
それと、自宅周辺で使用することを親が嫌がっていました。なので自宅周辺で使うことはなかったです。
Q:希望しないお手伝いをされるという具体例は?
A:慣れている道で、どこまで行くのか声をかけられたり、後ろから無言で手を掴まれて誘導されたり。親切心でしてくれることなので、「大丈夫です、ありがとうございます」というような断り方をしています。あまり嫌な思いをさせてしまうと、本当にサポートしてほしいときに、してもらえなくなったり、別の視覚障害者にも声をかけなくなったりするのも困るので。