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日本弱視者ネットワーク
Network of Persons with Low vision

(旧称:弱視者問題研究会・弱問研)

2015年11月20日 総務大臣 高市早苗様 文部科学大臣 馳浩様 弱視者問題研究会 代表 並木 正

要望書

日頃より視覚に障害のある児童・生徒の学習環境の充実にご理解とご尽力を賜り、深く感謝申し上げます。

既にご案内の通り、我が国は2014年1月20日、障害者の権利に関する条約を批准しました。また「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)も成立し、2016年4月から施行されようとしています。障害者差別解消法は、障害者の機会の平等を実現するために公共機関に対し合理的配慮の提供を義務付けており、合理的配慮の不提供は差別に当たるとしています。既に総務省におかれましても文部科学省におかれましても障害者への差別を解消していくために対応要領と対応指針が作成されたばかりであります。しかし、選挙年齢が18歳に引き下げられたことに伴い、総務省と文部科学省で作成され、全国のすべての高校生に配布されようとしている選挙に関する副教材は拡大版や点字版が作成されていないとうかがいました。そこで、弱視者問題研究会は、教育の機会均等を実現し、障害のある生徒に対しても、合理的配慮が適切に提供されますよう下記事項を要望いたします。

・視覚に障害のある高校生のために、その使用文字に合わせ拡大版と点字版を作成し、配布すること。

【理由】
弱視の生徒の多くは「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」に基づいた拡大教科書を使っています。また全盲の生徒の大半は視覚障害特別支援学校(盲学校)に在籍していますが、基本的には点字教科書を使って学習しています。このように視覚に障害のある生徒にとって通常の活字は読めない、または著しく読みにくいもので、拡大文字(18、22、26ポイント、ゴシック体)や点字による情報保障が必要です。一方、選挙権は障害の有無に関わらず、18歳以上のすべての国民に平等に与えられるものです。よって、選挙について解説している副教材について、視覚に障害のある高校生に対しても、その視覚障害の程度に応じ点字や拡大文字で提供し、晴眼の高校生と同じように選挙に関する見識が深められるような環境が必要であると考えます。