日頃より視覚に障害のある児童・生徒の教育にご理解を賜り厚く御礼申し上げます。しかしながら、今日でも目の見えない、見えにくい子どもたちにとって一人一人のニーズに応じた教科書が入手できている状況ではありません。教育現場における「消費者、生活者」はまさに児童・生徒であります。憲法が定める教育を受ける権利を平等に保障するためにも、また、教育基本法が義務付ける障害児への支援を行う上でも、1日も早い障害児への確実な教科書供給が望まれております。拡大教科書の例をとっても、専門期間である盲学校でさえ、発行されている拡大教科書は小学部で4教科、中学部で5教科、高等部では全く発行されていないという状況です。また全国の小・中学校に在籍する弱視児童・生徒数は1739名(2005年度)ですが、その中で拡大教科書が入手できているのはその3分の1程度に止まっています。一方で拡大写本ボランティアに依頼しても、これ以上は引き受けられないと断られたり、どこにどう依頼してよいのかを知らない弱視の子どもたちも数多く潜在しています。前文部科学大臣より各教科書出版者に対し、拡大教科書の発行及びデジタルデータの提供を要請する書簡は出されましたが、それに対して教科書協会は限られた学年の限られた教科の文字データしか提供しないという結論しか出しませんでした。よって引き続き教科書で学習したくてもできない子どもたちが数千名規模で放置されることになりました。
つきましては学校教育法で、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校に教科書の使用が義務付けられている限り、視覚障害児に必要な拡大教科書、点字教科書、音声教科書が適切に給与されていない現状を1日も早く改善していただきたいと考えております。そこで、交通バリアフリー法に倣い、教科書のバリアフリー化も法制度化し、下記事項が実現されるよう要望いたします。何卒よろしくお願い申し上げます。
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