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日本弱視者ネットワーク
Network of Persons with Low vision

(旧称:弱視者問題研究会・弱問研)

参議院 文教科学委員会 平成19年3月15日(木)

鈴木寛君

では、ちょっと質問を変えますが、これもせっかく教育再生を唱えておられる内閣の中でもう一押し頑張っていただきたいなというお話でございます。

弱視者用の拡大教科書の件でございますが、これは今でも大変感謝しておりますけれども、前小坂文部科学大臣が、この文教科学委員会の場でも御議論をさせていただいて、非常にリーダーシップを発揮していただいて、平成十八年の七月の二十七日に教科書発行会社の代表に極めて明確に要請をしていただいたんです。このことは本当に弱視教育に携わっておられる方は大変感激をし、そして本当に喜んでおられたわけでありますけれども、この要請以降、この拡大教科書問題は今どういう状況になっているのか、ちょっと概略をお話しいただけますでしょうか。

政府参考人(銭谷眞美君)

昨年の七月の二十七日に、国会等での議論を踏まえまして、当時の小坂文部科学大臣から各教科書発行者の代表者にあてまして書簡をお送りをして、弱視の方のための拡大教科書の充実について要請をいたしました。

内容的には、一つには、教科書本文のデジタルデータの提供ということをお願いを申し上げたわけでございます。それからもう一つは、教科書発行者による拡大教科書の発行の検討をお願いをしたという、この二点が要請の主たる内容でございました。

この点につきましては、教科書協会の方におきまして、この要請文を受け、九月の業務連絡会で各社集まったところで審議をし、前向きに取り組んでいくということは確認をいたしております。その後、役員の改選等が行われ、ちょうどこの三月から新体制になりましたものですので、今正に具体的な取組を始めているところでございます。

拡大教科書の普及充実のための調査研究小委員会というのを教科書協会の方でつくりまして、具体的な今検討を行っております。具体的には、二十年度用に向けまして、今年の十一月ごろまでに提供できる本文デジタルデータについて検討していこうということになってございます。需要の多い主要科目の書目について検討していこうということで、国語、社会、理科の順でデジタルデータの提供をやっていこうということになろうかというふうに伺っております。

それから、各教科書会社自身が拡大教科書の発行をするということにつきましては、現在は一社が小中学校の国語について発行しているわけでございますけれども、十九年度からもう一社、中学校の一年の国語について発行を今予定をいたしているところでございます。その他の各教科書発行者におきましても、拡大教科書の発行についてまだ検討の段階だというふうに認識をいたしております。

なお、平成十九年度の予算案におきまして、拡大教科書の普及充実のための調査研究費というのを文部科学省におきましても計上させていただいております。この経費も活用しながら、教科書発行者によるその拡大教科書の発行が多くの教科書について一日も早く発行されるよう、私どもまた努めてまいりたいと思っております。

鈴木寛君

弱視のこうした教科書のサポートをされているボランティアの皆さんは、実はこの四月の教科書からもう少し何とかなるんじゃないかなという期待があったものですから、私どものところにも何とかならないのかなと、こういう要望が来ております。もちろん、ボランタリーな要請に基づいてボランタリーに協力いただくというフレームワークですから、なかなか難しいのは分かるわけですけれども、今回も中教審で憲法に規定された教育を受ける権利が侵害され、教育を受けさせる義務が果たされていない場合には文部科学省が是正措置をするというようなことも議論されていると。これは、相手は教科書会社でありますからちょっと対象は違いますけれども、学ぶ側から見れば、私たちも学習権ということをずっと申し上げてきておりますけれども、やっぱりすべての学習者、その方が弱視であっても、逆に言うと、あればこそなおということだと私は思いますが、しかも今年は特別教育元年と、こういうことでもありますので、その方に教科書が十分に行き渡らないと。

ここはやはり私は、国の責任で最後は何とかしていかなければいけないんではないかなと。この半年、いろいろ手を尽くしてみてこういう状況になっておりますから、それこそ教科書法を手直しするなり、あるいは教科書法に基づいていろいろな制度をいじるなりして、これは何としてでもすべての学習者に検定教科書が行き渡るように、ここは強力にやっていただきたいし、それから今後、二十年に相当な改善が見られると、こういう御答弁でしたから、それをちょっと関係者に事前に、こういうタイムスケジュールでこうなりますよと。もう本当に大変疲れておられて、ボランティアの方々も。非常に、逆に言うとどこまでどれだけ頑張ればいいのかっていうやっぱりめども含めて、コミュニケーションをよく取っていただければ有り難いなと思いますが、これは御要望でございますが、これは大臣、よろしくお願いいたします。

国務大臣(伊吹文明君)

承りました。

鈴木寛君

ありがとうございます。それではよろしくお願い申し上げます。