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日本弱視者ネットワーク
Network of Persons with Low vision

(旧称:弱視者問題研究会・弱問研)

2006年4月14日 文部科学大臣 小坂憲次殿 弱視者問題研究会 代表  並木 正 全国拡大教材製作協議会 代表世話人 土屋 宏

要望書

弱視児のための拡大教科書の充実につきまして、日頃よりご理解とご尽力を賜り心より感謝申し上げます。

文部科学省は、(社)教科書協会に対して、加盟各社にデジタルデータの提供について協力要請するよう指示し、その後(社)教科書協会は、4月4日付けで加盟各社に対し協力要請の文書を発出したと伺っております。このデジタルデータの提供は拡大教科書製作に極めて有効であり、安定的な拡大教科書供給のための大きな一歩であり、教科書協会に於いて早急に検討が進められるよう期待するものであります。しかし、実際に作業効率を上げ、より多くの拡大教科書を保障するには、以下の点が必要不可欠ですので、引き続き、教科書協会へのご指導をお願いする次第です。何卒よろしくお願い申し上げます。

  1. 小学校から高校段階まで全ての検定教科書のデータが提供されること。
  2. 現在発売されている教師用指導書として編集されたものではなく、教科書に掲載されている全ての情報が含まれるデジタルデータであること。
  3. 提供されるデジタルデータのファイル形式は拡大教科書を製作する出版社やボランティアにとって利用しやすいものであること。

また、完全なデジタルデータが提供されるようになったとしても、誰がどの拡大教科書を製作するかということをコーディネートする機関が必要です。将来的には教科書出版社が、自ら拡大教科書を発行することが望まれますが、当分の間は別の出版社やボランティアが担わざるを得ないということが想定されます。別の出版社が拡大教科書を発行する場合は、現在でも著作権法上の補償金の支払い事務や原本教科書の早期入手が課題となっております。これらの問題に対しても早期に特段のご配慮を賜りますよう要望いたします。

拡大教科書の無償給与制度に関する周知の方法ですが、都道府県教育委員会から市町村教育委員会、更に各学校という文書連絡の流れだけでは新しい制度の情報はどうしてもうまく伝わりませんでした。全国の小・中学校には1739名の弱視児が在籍しており、弱視の新入生も毎年どこかの小・中学校に入学しています。事務担当や担任教師が拡大教科書や無償給与制度のことを全く知らなかったり、弱視児童が在籍している各学校の事務担当や担任も異動等で代わり、手続きが滞ることがあります。そのような事態も踏まえ、初めて拡大教科書に関する事務を行う事務担当や担任の教員でも正確に制度を理解できるように、文部科学省のホームページに今までの拡大教科書に関する通知文書を掲載し、誰でもいつでも制度の詳細を見られるようにするのがよい方法かと思います。併せてご検討の程、よろしくお願い申し上げます。