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日本弱視者ネットワーク
Network of Persons with Low vision

(旧称:弱視者問題研究会・弱問研)

参議院 文教科学委員会 平成18年3月16日(木)

鈴木寛君

教育基本法の中でもっともっと議論をしていただきたい項目の一つに特別支援教育、これはやはり特出しをして私は更に議論をすべきではないかというふうに思います。

そこで、もう議論させていただきたい話一杯ございますが、今日は弱視の方々、弱視児童の拡大教科書の問題、これ、お願いを申し上げたいと思います。

これは文部省の御理解によりまして、著作権法の改正の中で、いわゆる弱視者が使う拡大教科書についての著作権許諾の問題、これは解決をしていただきました。これは大変に現場も感謝をしていただいているようでございます。これは率直に御礼を申し上げますが、今問題になっておりますのは、しかも補償金の支払も免除されております、ボランティアの分は。

ただ、結局、弱視の皆さんの拡大教科書がボランティアの人によって作られるという実態なんです。今ボランティアの方々がもうパンクしておりまして、せっかく法制度で措置を講じていただいたんですが、今二千名から三千名の弱視の方がいらっしゃいますけれども、その方々に拡大教科書が具体的に届いていないという問題、これを何とかしていただきたいと思います。

この方策としては、大きく言うと二つございまして、教科書の出版社に拡大教科書の出版を義務付けていただくというのが一つですね。それから二点目は、これは私は即刻できると思うんですが、教科書の出版社に教科書のデータ、それこそデジタルであるわけです、今や。そのデジタルデータを、ボランティアの方にデジタルデータをそのまま提供することを義務付けていただきたい。

そうしますと、後はそれを使って、正にオン・デマンド・プリンティングという方法がありますから、それによってその子に応じた教科書ができるようになるんですけれども、今これが提供されないものですから、アナログで一々コピーを取ってという事態になっていますので、これは即刻できますので、是非、文部科学省、お願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(銭谷眞美君)

弱視の方に向けた拡大教科書について二点お尋ねがございました。

まず、後の方のお尋ねでございますけれども、いわゆる教科書会社にデジタルデータの提出を義務付けるという点でございますけれども、これについては、現在でもこのデジタルデータについては、教科書協会において一定のルールの下にこれを提供するということで取り組んでいるわけでございます。

教科書会社はあくまでも民間の企業でございますので、新たにデジタルデータの提出を義務付けるということは一つの規制になりますので直ちには難しいと思いますけれども、御要請があればこのデータを提供すると。そして、可能な範囲で協力を行うということについては現在も行っておりますし、私どもも各教科書会社に協力の呼び掛けということはしてまいりたいと思っております。ただ、残念ながらまだ余り御要請はないということでございますが、これから出てくるのかなというふうに思っております。

それからもう一つ、拡大教科書の作成を教科書会社に義務付けるといいましょうか、もうちょっとやらせるという点でございますけれども、実は弱視の児童生徒につきましては、その見え方が大変様々でございまして、児童生徒一人一人の見え方に対応した様々のやっぱり大きさの教材が工夫をされるということが大切でございます。

それで、今はこういった子ども一人一人の見え方に対応した拡大教科書をボランティアの方の御協力を得ながら作成をしているわけでございますけれども、実はその方が弱視の子どもに対してより適切な教科書を供給することが可能であるというふうに思われます。各教科書会社に必ず発行を義務付けても、それはもちろん経費の問題も、掛かりますけれども、本当にその拡大教科書が合う子どもさんのためだけのものになるかどうかという疑問もございまして、もちろん今一社やっているところがありますけれども、それではやっぱり使えないという弱視の方もいるわけでございますので、私どもとしては、ボランティアの方々が拡大教科書を作る際に、いろんな意味で、事務手続その他、作りやすいように十七年度からいろいろな工夫もしておりますけれども、まずはそちらの方でやっていくというのが基本かなというふうに思っているところでございます。

鈴木寛君

いずれにしても、弱視の子どもさんにきちっと拡大教科書が確実に手に行くように、文部省、最大限の御支援をお願い申し上げたいと思います。