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日本弱視者ネットワーク
Network of Persons with Low vision

(旧称:弱視者問題研究会・弱問研)

参議院 文教科学委員会 平成15年5月22日(木)

山本香苗君

次に、先ほど来質問がございます拡大教科書の件についてお伺いしたいと思います。

今回の改正で、先ほど最後、大臣に御答弁いただきましたとおり、一つ問題をクリアしたというところ、著作権の問題がクリアされたという状況でございますけれども、引き続き弱視の子供たちの学習環境を整えていく上では様々な課題が残されているとお伺いしております。

そこで、二点ほどまとめてお伺いしたいんですが、まず一点目は、いろんな今御意見ございましたけれども、何で普通学校におけます拡大教科書が無償配付をされていないのか、そのなぜされないのかという理由を具体的にお教え願いたいと思います。

二点目につきましては、このほかにも課題として文部科学省がこれから取り組んでいかなくちゃいけないというふうに認識されていること、どういうことがあるのか、そしてそれに今後どう取り組んでいかれるのか、その点についてお伺いしたいと思います。

政府参考人(矢野重典君)

まず最初の点でございますが、これは、小中学校の通常の学級におきましては検定教科書を主たる教材として授業が展開されているところでございまして、視覚に障害のある児童生徒が在籍している場合でありましても他の児童生徒と同様に検定教科書を無償給与していることから、いわゆる拡大教科書を無償給与することはしていないわけでございます。つまり、検定教科書は、きちっとその子供につきましては通常学級においては検定教科書を使うこととし、それについて検定教科書は無償で給与されているということを踏まえての対応であるわけでございます。

それから、もう一点の弱視の児童生徒のための環境整備ということでございますが、これは、これにつきましては、特に拡大教科書の問題につきまして、昨年度から国立特殊教育総合研究所におきまして、これまではもう国語、算数、数学、英語につきましては既に拡大教科書が作成されているわけでございますが、まだ理科と社会については拡大教科書化されていなかったものでございますから、国立特殊教育総合研究所におきまして教科書作成のノウハウの研究開発を行ってもらいまして、その成果物として、昨年度でございますが、理科、社会の一部につきまして拡大教科書を作成し、今年度から百七条図書として無償給与され、活用されているところでございます。

今年度は、残りの分につきましても、残りの理科、社会につきましても研究開発をいたしまして、さらにその作成のための研究を進めたいということと同時に、昨年研究開発をいたしました拡大教科書につきましても、モニターを行うことによりまして拡大教科書作成のマニュアルも作成するようにいたしたいと思っているところでございます。

さらに、これは盲学校においてでございますけれども、拡大教科書、拡大教材制作のための設備等の充実を図ってまいっておりますけれども、今後、私どもとしては、先ほど来お話ございましたように、ボランティアの役割また意義というのは大変大きいわけでございます。そういう意味で、ボランティアとの連携を充実するためのネットワークの構築につきまして、現在、全国盲学校長会とも連携を密にしながら検討を進めていると、こういう状況にあるわけでございます。

山本香苗君

あえてこの弱視の子供たちの教科書を無償にしていただきたいという御意見、先ほど来ありまして、私もそれに全く同感なわけでございます。大臣の方からも、矢野局長の方が検討検討と言われていらっしゃると。私も役人で国会答弁を作るときに、検討という言葉の使い方、単に検討しますと軽くは言わないというふうにお伺いしておりまして、是非とも、次、法律が施行されるときまでに、しっかりとして本当に検討していただきまして成果を出していただきたいと思っております。