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日本弱視者ネットワーク
Network of Persons with Low vision

(旧称:弱視者問題研究会・弱問研)

2003年2月4日

弱視児用拡大教科書に関する著作権法改正の早期成立を目指す要望書

弱視者問題研究会 代表 本多和弘

現在、盲学校で使われている教科書のうち、出版されている拡大教科書は小学部の国語と算数、中学部の国語、数学、英語のみです。それらも法的には教科書と認められておらず学校教育法107条の下に製作されているため、著作権の問題で一部の本文や写真、挿絵が掲載されておらず、原本の検定教科書と情報の格差が生まれています。この現状は「法の下の平等」を定めた日本国憲法や「その能力に応じた教育の機会均等」を定めた教育基本法に反していると言わざるを得ません。

一般の検定教科書が与えられた後、弱視が僅かな視力を酷使し教科書を読むためには、拡大教科書の製作をボランティアに依頼するしかありません。しかし、ボランティアが弱視児の学習支援上、拡大教科書を製作する際にも、教科書に関わるすべての著作者に許諾を得なければならず、違法状態が続いています。合法的にボランティア活動を行っていただくためにも著作権法上でのご配慮をお願いしている次第です。

去る1月24日に文化庁著作権審議会より拡大教科書に関する法改正の答申が出されたと伺っております。拡大教科書の内容を原本と同じにするために、より多くの教科で拡大教科書を製作するためには拡大教科書を法的にも教科書と位置づけることが必要不可欠です。つきましては、この法案が通常国会で1日も早く成立することを要望する次第です。先生方の弱視児の学習環境改善へのご理解とご支援を賜れますようお願い申し上げます。