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日本弱視者ネットワーク
Network of Persons with Low vision

(旧称:弱視者問題研究会・弱問研)

参議院 文教科学委員会 平成14年4月11日(木)

鈴木寛君

民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。よろしくお願いを申し上げます。

私がまずこの著作権法改正の審議の冒頭にお伺いをいたしたいのは拡大教科書の問題でございます。

拡大教科書と申しますのは、十分な視力を持たないお子さんが通常の教科書は読めないわけですね。そうしますと、その通常の教科書をボランティアの、今はボランティアの方々にほとんど頼っている状況でございますが、字を拡大して、図を拡大していただいて、それを使っていわゆる勉強をしておられるというのが実態でございますが、その拡大教科書が十分な教科書制度における位置付けあるいは著作権法上の位置付けがなされていないために、大変に勉強される御本人そしてその関係者に御負担を掛けている、そういう実態がございます。

この問題について、民主党といたしましても、四月九日に民主党内にございます拡大教科書問題チーム、堀議員あるいは肥田議員からも文部科学省にお願いに伺ったところでございますが、正にすべての子供の皆さんが学ぶ権利というものがこれは憲法で保障されているわけでございます。適切な教科書がすべての子供にひとしく提供をされなければいけないというふうに思いますし、そのために教科書検定制度あるいは教科書無償制度というものがあるというふうに理解をいたしております。

非常に大事な問題だと思いますが、費用の問題、著作権の問題で、先ほど申し上げましたような問題を抱えている。私ども民主党としては、既存の検定教科書を拡大した拡大教科書を検定教科書に位置付けていただきたい。あるいは、弱視の子供さんたちに対してすべての教科の、これまだ拡大教科書が全教科あるわけじゃございませんので、すべての教科の拡大教科書を無料で、無償で提供をしていただきたい。あるいは、子供たちの障害の程度やニーズの多様性に応じて保護者の方々が独自に作成をされておられます拡大教科書について、その作成費用を行政が助成をしていただきたい。あるいは、点字の教科書は著作権法上の様々な措置がなされておりますが、この拡大教科書はされておりません。そういう意味で、著作権法第三十三条の適用など検討をしていただきたいというようなお願いをさせていただいております。

必要な場合には著作権法の改正もしていただきたいということを、お願いを今度再度確認という意味でさせていただきましたし、以前よりもお願いをしておりますし、それから遠山大臣のお耳にも以前からこうした弱視の子供の皆さんが大変苦労されているという声は届いておるというふうに思っておりますので、ぜひこの点についての前向きな大臣の御答弁をお願いを申し上げたいと思います。

国務大臣(遠山敦子君)

弱視の児童生徒さんたちは、持っている視力を活用しながら、その可能性を最大限に生かして、自立し、社会参加するために必要な力を培ってもらうということは大変大事だと思っております。

そのために二つのことが大事でございまして、一つは、その弱視の児童生徒が、視力は同じでも見え方が様々でありますので、その状況を踏まえて、通常の検定教科書を無償供与して、弱視レンズでありますとか拡大読書器などの視覚補助器を用いて、一人一人の見え方に配慮した指導を行うということも大事だと思っております。これは実施されているところでございます。

それからもう一つ大事なことは、今おっしゃった拡大教科書のようなものを作りまして、その教科の内容を十分に自分の力で読めるようにしていくということを助けるのも大変大事だと思います。

盲学校や弱視特殊学級において、検定教科書に代えまして、いわゆる百七条図書といたしまして、各都道府県教育委員会等が採択した場合には無償供与できるようにしているわけでございまして、現在、小学部、中学部の国語、算数、数学、英語において活用が図られているところでございます。また、就学奨励費による教材購入費等の補助も行っているところでございます。

今お話にありますように、しかしまだ十分にこの対策がすべて終わっているわけでございませんで、いわゆる拡大教科書を含みます教材の作成がより適切かつ円滑に行われることが大切だと考えております。拡大教材の作成ノウハウの研究でありますとか、著作権の許諾を円滑に得ることができるような仕組みなどの検討を始めているところでございまして、今後、弱視の児童生徒に対する教育の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。

鈴木寛君

教科書といいますのは、いろんな知恵、知識を集めてくるわけでありまして、とりわけ今、大臣もおっしゃいましたが、著作権許諾を取る手間というのは物すごい掛かるということを聞いております。

それで、先ほどルーペなどでというお話もございましたけれども、これはなかなか、やっぱり私もお話を伺いますと相当大変だなということも分かりますので、是非この問題はきちっと対応をしていただきたいと思います。

この話は、恐らく社会正義の観点からしますと委員のすべての皆様方の御賛同を得られるお話だと思うのでございますが、こういうときに著作権許諾という問題がそうした御苦労をされている方々の前に出てきますと、そもそも著作権法というのはどういうものなのかということを少し疑問を持たざるを得ないなというふうな気もいたしますので、是非、よろしく大臣のリーダーシップを発揮して、これは速やかに御対応お願いをしたいというふうに思います。