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日本弱視者ネットワーク
Network of Persons with Low vision

(旧称:弱視者問題研究会・弱問研)

衆議院 文部科学委員会 平成14年7月3日(水)

西委員

次に、デジタル教科書についてでございます。

先日の当委員会でも、拡大教科書という話が議論になりました。私も、以前デジタル教科書を作成するようにというふうに提言したことがあるんですけれども、弱視の児童生徒にとって強い要望のある拡大教科書問題を解消するという側面だけではなくて、目の不自由な児童生徒も、音訳ソフトを使えば音声の教科書として利用することも可能になるわけでございます。障害を持つ児童生徒が自分の障害に合わせた教科書利用ができるということだけではなくて、また、読むことに困難のある学習障害児も恩恵をこうむることになるんではないか、こう思っております。

教科書自体がもう既に、多分作成の段階でデジタルデータを使っていると思いますので、このデジタルデータをデジタル教科書としてホームページ上に掲載して利用するというようなことも十分考えられる、そんな特別のことをしなくても使える状況にあるんではないかと私は思っておりますが、このことについての御見解をお伺いしたいと思います。

矢野政府参考人

学校教育におきましては、これまでも、児童生徒が学習内容について十分理解ができるように、教科書以外に音声教材あるいはビデオ教材などの教材が用いられてきたところでございますが、今後は、発達段階や教科等によりましては、コンピューターの活用が一層促進されるものと考えているところでございます。例えば、特殊教育におきましては、音声入力装置や電子図書などデジタル技術を活用したさまざまな教材がありまして、効果的な学習を進めるための教材として利用されているところでございます。

御提案の、教科書のデジタルデータをデジタル教科書としてホームページ上に掲載して利用できるようにすることにつきましては、一つは、マルチメディアに対応した指導方法の開発の問題あるいは児童生徒各人へのコンピューターの普及といったようなこと、さらには、より使いやすいコンピューターの普及、また児童生徒の心身に及ぼす影響など、検討すべき点もございますけれども、文部科学省といたしましては、今後とも、情報技術の進展に伴う教育環境の整備を促進しつつ、御指摘の点も含めて、児童生徒にとって望ましい教材のあり方について検討してまいりたいと考えているところでございます。

西委員

次に、現在の学校のバリアフリー、いろいろなところで議論がされておりますが、障害者にとってよりよい教育環境の整備が進められるようにということから御質問を申し上げたいと思います。

こうなってまいりますと、バリアフリーというよりも、一歩先に進んで、ユニバーサルデザインの理念に基づいて学校づくりを行うということが要請されているんではないかと思います。

先ほどデジタル教科書も申し上げましたが、視覚障害者の利用だけでなくて、さまざまな障害を持つ人にも汎用的に利用できるという利点がございます。災害のときに避難をするというようなことについても、また日常的に地域の人が学校を利用するというようなことについても、十分考えられる時代になっているわけですので、ぜひともユニバーサルデザイン化した学校という発想をこれからの学校づくりに応用していただきたい。また、そのための研究会等も設けて検討していくべきではないかと私は考えているんですが、この点についてお伺いをしたいと思います。

岸田副大臣

学校施設につきまして、まず、バリアフリー化を進めることは重要だと認識しております。これまでもその認識のもとに国庫補助を行ってまいりましたし、また、今国会、審議されているハートビル法の改正案では学校施設がバリアフリー化の努力義務の対象ということになっておりますので、文部科学省としましても、引き続き地方公共団体等の設置者におけるバリアフリー化の取り組みを積極的に支援するというふうに考えております。

そして、今御指摘のユニバーサルデザインのことでありますが、このユニバーサルデザインというもの、できるだけ多くの人が利用可能であるように、建物、空間等をデザインすることというふうに承知しておりますが、文部科学省としましては、学校建築や学校教育の専門家等で構成される検討会議等において、さまざまな障害を持つ人はもちろんのこと、健常者にとっても利用しやすい学校施設のあり方について検討していかなければいけないと思っております。こうした検討会議等を通じて、ぜひ検討してまいりたいと考えております。