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日本弱視者ネットワーク
Network of Persons with Low vision

(旧称:弱視者問題研究会・弱問研)

2008年11月25日 文部科学大臣 塩谷 立 殿

要望書

弱視者問題研究会 代表 並木 正

日頃より視覚に障害のある児童・生徒の学習環境の充実につきまして、ご理解とご尽力を賜り心より感謝申し上げます。拡大教科書につきましては、障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律を成立され、その後も拡大教科書の普及推進にご努力いただいていることに深く敬意を表します。

障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律により、これからは教科書出版社自らが拡大教科書を発行することが求められています。今後は拡大教科書製作だけでパンク状態にあった拡大写本ボランティアも拡大教科書製作から開放され、徐々にエネルギーを拡大教科書製作から副教材や参考書、問題集の拡大版製作へと移行していくことが展望されます。しかしながら拡大写本ボランティアが副教材などの拡大写本に取り組む際に大きな著作権法上の障壁があります。拡大教科書であれば、著作権法第三十三条第二項により著作権者への許諾は免除されていますが、その他の教材となると当該図書のすべての著作権者に許諾を得ない限り作業に入ることができません。実際に弱視の子どもたちの学習には教科書のみならず、ドリルや資料集などの副教材や受験勉強のための参考書や問題集も晴眼の子どもたちと同じように必要です。

そこで拡大写本ボランティアが著作権許諾の手続きに悩まされることなく、弱視の子どもたちの学習に必要な書籍の拡大版製作にスムースに取り掛かれるような著作権法の改正を要望いたします。具体的には第三十五条の学校その他の教育機関における複製を行う者にボランティア等の「障害のある児童・生徒の学習を支援する者」を加えていただくことが考えられます。

特別支援教育の理念は「障害のある児童生徒の視点に立って一人一人のニーズを把握して必要な教育的支援を行う」というものです。また、子どもの読書活動の推進に関する法律の第二条に「子ども(おおむね十八歳以下の者をいう。以下同じ。)の読書活動は、子どもが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないものであることにかんがみ、すべての子どもがあらゆる機会とあらゆる場所において自主的に読書活動を行うことができるよう、積極的にそのための環境の整備が推進されなければならない。」とあります。

特別支援教育を推進する上でも、また弱視の子どもたちの知的な可能性を引き出す上でも必要な環境整備と考えます。何卒ご検討の程をよろしくお願い申し上げます。

<<住所等省略>> 並木 正