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日本弱視者ネットワーク
Network of Persons with Low vision

(旧称:弱視者問題研究会・弱問研)

参議院国土交通委員会 2024年3月29日

○大島九州男君

先日、内閣委員会で、ホームの事故、転落事故というのが結構あるんだというのを、特に視覚障害の人が長軸方向って真っすぐ歩いていく、長距離歩く真っすぐの中で横に、ホームから転落する事故が多いというようなことを聞いて、いろいろ調べてみると、その障害、視覚障害者当事者からは、ホーム中央に安全な動線を設けてほしいという、そういう要望があるということだったんですね。

今度、四月一日から改正障害者差別解消法において民間企業の合理的配慮が義務になるのに併せて、JR東日本と西日本に、何でそういうその誘導ブロックを中央に引かないのかというのを質問しましたら、視覚障害者の長軸方向移動についての安全上の配慮が必要なことは認識していると、しかし、ホーム中央の誘導ブロックの敷設に関しては、検討会の中でも議論されているように幾つか今後整理すべき課題があって、その課題がなされた後に対応を検討したいというふうな回答が来たり、それから、社員や周りのお客様から積極的にお声掛けをいただくための風土醸成を行っていますという、こういうJRの回答なんですが、そんなことでいいのかという気がしているんですけど。

実際、検討会で結論が出ないと何もしませんよという、そういう姿勢なんですが、それについてどういうお考えでしょうか、国交省。

○副大臣(國場幸之助君)

新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会に参加しているJR二社からは、駅ホームの中央に誘導ブロックを敷設することについては本検討会でも多くの慎重の意見があること、敷設する場合には鉄道各社共通での敷設方針や敷設方法の整理が必要である、必要と考えていることから、現時点ではそのような誘導ブロックの敷設は進めていないと聞いております。

国土交通省としては、各鉄道事業者が異なる敷設方法で誘導ブロックの整備を進めた場合、かえって視覚障害者の方の混乱を招く可能性もあるため慎重な検討が必要と考えており、また、両社とも引き続きハード、ソフトの両面からバリアフリーの向上に努めるとされていることから、両社の回答内容については理解できるものであると受け止めております。

○大島九州男君

いや、検討会というのは、私もいつもいろんな委員会で言うんですけど、審議会、検討会というのは、もうそれぞれの省庁が大体こういう答えを出してほしいなみたいな人たちを集めてやっているという認識です、これは私のね。

今回もJRは、いやいや、もう今やっている部分で十分だと。いや、十分だったら事故が起こらない。そして、今もう無人駅とかどんどん増えていっているときに、えっ、じゃ、これまた重ねて東日本の方に質問したんですよ、無人駅とか増えているのにどうするんですかと言ったら、いやいや、無人駅においても周囲のお客様からの御協力をいただくため強化キャンペーンを実施して、車内放送を行うなど風土醸成を行っています。いや、それは、お客さんが善意で、そういった不自由な人が見かけたら、じゃ、ちょっと誘導しましょうかといったときにどこを誘導するかといったら、大体安全なところだからホームの中央じゃないですか。

我々健常者でもホームの端っこを、人がいっぱいいるからというんで線路側の方の空いているスペースを行こうとしたら、結構恐怖があるんですね。そういった端っこの方、点字ブロックの上を障害者は歩くんだからというんでそこを誘導しようというふうにはなかなか思わないと思うんだけれども、中央にそういった誘導ブロックがあれば、当然、我々、私のように知識のない人間でも、ああ、点字ブロックの、誘導ブロックの上を誘導してあげようかなというふうに思う。まさに、一般の人にそういったことをお願いしようとするんだったら、中央に引いた方がより安全じゃないかというのが普通の感覚ですよ。分かっている人と分かっていない人、分かっていない人の方が多いんだから。

だから、そういう善意のお客さんにそういったことをお願いしようとするなら、余計に中央にそういったもので統一した方がいいと思うんですけど、そこの見解はどうでしょうか。

○副大臣(國場幸之助君)

駅ホームの中央に誘導用のブロックを設置することについては、推奨する意見もありますが、本検討会の構成員である多くの障害者団体等からは、ホームの端に設置している内方線付き点状ブロックを中央の誘導ブロックと誤認するなど、かえって危険が生じる、また、ホーム上には階段、売店などの構造物があり、誘導ブロックを途中で折り曲げて設置すると方向転換する回数が多くなり、それだけ方向を失うリスクが高くなるなどの反対の意見もあるため、慎重な検討が必要であると考えております。

このため、本件については引き続き議論を継続してまいりますが、本検討会においては、本年一月には視覚障害者の方に駅ホームや車両を用いた歩行訓練を体験いただくなど、白つえを適切に使用してホーム上で安全に搭乗する方法の普及促進なども進めているところであり、引き続き視覚障害者の安全対策についてしっかりと取り組んでまいります。

○大島九州男君

いや、結局、いろんな人の意見があるんですよ。ただ、誰が見ても安全なのは中央なんですから、そういう方向にうまくまとめていって統一していくということが必要だというふうに思うんですが、大臣、どうでしょうか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)

先ほどから出てくる検討会、この検討会、新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会、この検討会には視覚障害者の方々、団体、入っていただいております。そういう方々の意見を聞きながら、この検討会で議論を続けております。このうち、駅ホームの中央に誘導用のブロックを設置することにつきましては、先ほど國場副大臣から説明がありましたとおり、当事者から多くの慎重な意見があるため、検討に時間を要しているところでございます。

国土交通省としては、利用者の安全に直結する課題であることから、障害当事者の方々の様々な御意見にしっかりと耳を傾けた上で、丁寧に合意形成を図っていくべき事柄であると考えております。

いずれにいたしましても、ハード、ソフト両面から、視覚障害者の方々を含め障害をお持ちの方々が安心して鉄道を御利用いただけるよう、安全対策をしっかりと進めてまいりたいと思います。

○大島九州男君

まあ、検討会始まって四年もたってそういう結論も出ないんですから、しっかりと早急に結論を出して、統一して、事故のないようなホームを造っていただきたいということを要望して、終わります。