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日本弱視者ネットワーク
Network of Persons with Low vision

(旧称:弱視者問題研究会・弱問研)

2013年8月25日 文部科学大臣 下村博文様 独立行政法人 大学入試センター長様 弱視者問題研究会 代表 並木 正

弱視受験生用試験問題に関する要望書

日頃より弱視児童・生徒の学習環境の充実につきまして、ご理解とご尽力を賜り、深く感謝申し上げます。

既にご案内の通り、先の国会で「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」いわゆる差別解消法が成立しました。この法律では、障碍者に対する合理的な配慮を求めており、合理的な配慮の不提供は差別になります。

一方、弱視児童・生徒の見え方は一人ひとり異なります。よって厳密に言えば、それぞれの弱視児の見え方に応じた適切な字体や文字の大きさも一人ひとり違うと言えます。しかし、一人ひとりの見え方に応じた問題作成は相当な労力を要するでしょうし、実現不可能な過重な負担ともなりかねません。そこで当会は弱視受験生に対する合理的な配慮について以下のように考えております。

各種先行研究によると、多くの弱視者にとって読みやすい字体はゴシック体、文字の大きさは18~26ポイントにニーズの多くが集中していることが明らかになっています。2008年6月に成立した「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」(教科書バリアフリー法)により、文部科学省が定めた拡大教科書の標準的な規格でも、これらの調査結果に基づき教科書出版社は22ポイント、ゴシック体(B5判)で拡大教科書を作成し、それをさらに0.8倍にしたもの(18ポイント相当)や1.2倍にしたもの(26ポイント相当)も同時に出版するよう求めています。実際に2012年度現在、義務教育段階については全ての検定教科書の拡大教科書がこの標準規格に基づき発行されており、高校段階についても盲学校採択の教科書を中心に拡大教科書の発行が増えてきております。また現在、小6と中3の児童・生徒を対象に実施されている全国一斉学力調査でも弱視児童・生徒用の問題は22ポイントゴシック体で編集されています。

しかしながら、大学入試センター試験では、10ポイント程度の問題用紙を単純に1.4倍に拡大コピーしたものしか提供されていないため、弱視生徒にとっては問題を読み間違えたり、読み速度が遅くなるというハンディが生じています。また、事実上センター試験がナショナルスタンダードとなっているため、それに準ずる国公立大学の二次試験や私立大学入試、高校入試などにおいても弱視生徒に適切な試験問題は提供されていません。言うまでもなく、試験は次の進路を決定する重要な岐路であり、将来の自立と社会参加に大きく影響するものです。

つきましては、弱視受験生に対し合理的な配慮として文部科学省が定めた拡大教科書の標準的な規格に倣い、18,22,26ポイント、ゴシック体の問題を提供していただけますよう要望致します。

弱視者問題研究会  代表 並木 正 担当 宇野和博 <<住所等省略>>