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日本弱視者ネットワーク
Network of Persons with Low vision

(旧称:弱視者問題研究会・弱問研)

福井県視覚障害者ネットワーク『羽二重ねっと』設立のお知らせ

福井県立盲学校 理療科教諭 岡島 喜謙(おかじま よしのり)

この度、福井県視覚障がい者支援ネットワーク「羽二重(はぶたえ)ねっと」の設立に関わらせていただきましたので、概要や経緯、今後の課題などについて説明いたします。

福井県内では、従来より複数の団体が視覚障がい者支援の活動を行ってきました。ただ、それらは個々の活動が中心で、それぞれが連携して活動することはほとんどありませんでした。しかしながら、視覚障がい者は見えない・見えにくいという特性上、自らが求める情報にたどり着くことは容易ではありません。特に人生の半ばで見え方に困難を負ってしまった場合、今までとは全く異なった人生を歩まざるをえないことも多々あり、その精神的、経済的な負担は計り知れません。

そこで、今回福井県内で視覚障がいに関わる団体が連携し、ネットワークを構築することとなりました。特に見え方で困難を感じる方々がはじめに訪れることの多い眼科医にも参加していただき、病院から各組織への連携という、いわゆる福井版スマートサイトの構築を目指しています。

羽二重ねっと設立に向けた取組としては、2015年2月に構成団体が一堂に会した第1回準備会が開かれ、ネットワーク設立に向けた準備を行うことを決定しました。

その後、盲学校内に準備会事務局が置かれ、4月から毎週木曜日に定例の準備委員会を開き、設立へ向けた準備を行なってきました。そして6月に全体での第2回準備会、その後メーリングリストなどを通じて意見交換を行い、大詰めの作業を行いました。また同時に記念講演会に関する広報も行い、全国の関係団体メーリングリストやSNSへの投稿、福井県内外の医療機関をはじめ、学校や公民館、金融機関など多くの場所でポスターの掲示をしていただくことができました。

そして2016年1月10日に福井駅東口にあるアオッサにおいて設立総会を開き、代表に福井県眼科医会元会長の島本史郎氏、副代表に福井県立盲学校長の五十嵐陽子氏が選出されました。総会では会則や今後の事業計画、事務局の盲学校設置なども承認され、羽二重ねっとが正式に発足しました。

午後には県内外から12社に出展いただいた機器展示会、そして理化学研究所の高橋政代氏による「再生医療とロービジョンケア」、また心理カウンセラーの田中桂子氏による「現場から学ぶ連携・協働のコツ」についての記念講演会が開かれ、弱問研の並木代表をはじめ全国各地から400名近くの方々にご出席いただきました。

第一歩を踏み出した羽二重ねっとですが、今後の希望とともに課題も多くあります。例えば実際のケアに携わる人材の確保です。ロービジョン外来や歩行訓練などは現在も行われていますが、その数は十分とは言えません。就労継続や日常生活訓練などの専門家も現段階では確保されていません。他にもケース会議の在り方や、資金計画など解決しなければならない問題は多々あります。

しかしながら考えているだけでは解決されません。講演で高橋政代氏が仰った「変わるものを変えようとする勇気、変わらないものを受け入れる寛容さ、このふたつを取り違えない叡智(えいち)」。この気持ちを胸に、今後地道に、そして継続的に活動に取り組んでいきたいと思います。

最後に羽二重ねっとの名前の由来ですが、福井県内の特産品である絹織物の羽二重のように縦糸と横糸が交わりあい、見え方で困っている方々を優しく包み込みたいという思いが込められています。

今後の皆さんからのご支援、ご助言をよろしくお願いいたします。

羽二重ねっとホームページ
http://www.habutae-net.jp/