2009年9月
弱視者問題研究会
弱視は、ひとりひとり見え方や困ることが異なります。また、理解されにくく、誤解されやすい障害です。最近はロービジョンと呼ばれることが多くなり、弱視教育やロービジョンケアなどがマスコミで取り上げられるようになってはきましたが、まだまだ、目が悪い=メガネをかければいい、目が不自由=全然見えない人だけと思われがちで、メガネやコンタクトレンズで改善できない、少しだけ見える「弱視」という状態はまだまだ知られていません。「わかってもらえない」状況は、時に、思わぬ誤解を生じて対人関係を損ねたり、必要なときに手助けをうまく得られなかったり、劣等感や孤立感を感じるといった問題の誘因にもなってきました。
そこで、自分の見え方を、視力や病名ではなく具体的な生活場面に即して、わかりやすく的確に人に説明し、理解者を増やしていくために考案したのが、「私の見え方紹介カード」です。
初版は、1997年の発行以来、延べ2500部を配布・販売しましたが、今春に在庫がなくなり、絶版状態となっていました。
発行から12年が経過し、弱視者を取り巻く状況が大きく変化したため、現在のニーズに合わせて改版しました。
主な変更点は、
です。
カードの体裁は、A6版横書き、片面刷りの厚紙106枚、リング綴じです。
内容は、利用方法の説明、選択肢と解説からなる本文、視覚補助具などの解説や視野欠損のイメージ図を含んだ資料編、白紙の予備カードとなっています。
冊子ではなくカードにしたのは、多様な見え方や年齢、生活場面に応じて、必要な項目だけを取捨選択したり、順序を入れ替えたりできる利点があるためです。
文面は、専門的な知識がなくてもわかりやすいこと、自分の視覚特性を体系的に整理できるようにすること、劣等感を軽減し、自尊心を取り戻せるようにすること、「かゆい所に手が届く」弱視者ならではの思いを伝えること、を心がけて構成しました。
「誰も自分のことをわかってくれない」と、対人関係でつまずいた弱視者の多くが嘆いています。家族、友人、クラスメイト、学校の先生、職場の同僚といった身近な人の中に、「自分のことをわかってくれる、さりげなく気遣ってくれる」人をひとりでも増やすことができれば、弱視者の心理的負担は格段に軽くなり、QOLが改善します。
弱視者本人や家族の方はもちろん、視覚障害者の教育、医療、福祉、研究、ボランティア活動などに携わる方々にも、ぜひご活用いただければ幸いです。
販売は、(株)大活字
1セット600円+送料
お問い合わせは弱視者問題研究会まで。